呉服屋ってどんな所?京都の老舗着物店から考える呉服屋の今
骨董市やフリーマーケット、ネットショップなど、着物を購入できる場所は様々ですが、古くから着物を扱う店として知られているのが「呉服屋」です。
一度は呉服屋に行ってみたいと思っていても、「知識がないと恥をかきそう」「若い人は相手にされないのでは」といった不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、呉服屋の歴史や雰囲気、呉服屋を利用するメリットと意義を紹介します。
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※この記事は京都着物レンタル梨花和服を運営するTripFarm株式会社 取締役 高雲が監修しました。
呉服屋ってどんなところ?呉服屋の歴史
呉服屋は「呉服」と呼ばれることがある和服を扱うお店を指す言葉で、着物や帯のほか、和装小物なども扱っています。「呉服」は元々「絹織物」を意味していましたが、現在は「着物全般」を指しています。
呉服屋が大きく発展した江戸時代
着物を扱う店は古くからあり、着物文化発信地である京都にも絹織物を扱う店が数多く存在していました。
しかし、染めや織で文様を描いた着物は武士や公家、皇族が身につける品といった位置づけであったため、江戸時代ごろまでの取引規模はそれほど大きくなかったようです。
平和な江戸時代になると一般庶民の間で美しさを備えた着物の需要が高まっただけではなく、流通が飛躍的に発展し、着物の取引規模が拡大。京都では近江、伊勢、美濃などの商人たちが新興町人として取引の主導権を握ったこともあり飛躍的に発展しました。
百貨店の元にもなった呉服屋
需要の拡大や流通の発展などから規模が拡大した呉服屋は、上方や江戸などに支店を設けるなど、幅広い地域に商品を流通させながら力をつけていきます。
そのなかの一つが「三越百貨店」の前身となる「三井越後屋呉服店」は、それまでの商習慣にはなかった「店前売り」、「現銀(金)掛値なし」、「切り売り」、「仕立て売り」といった手法を打ち出し、次次と成功を収めていきました。
そして1904年12月。当時の経営者であった日比翁助主導の元、三井越後屋呉服店は呉服屋から百貨店へ転身するとともに名前を「三越」と改めます。これをきっかけに松坂屋、高島屋、大丸などの有力呉服店が百貨店へと転身していきました。
呉服屋は入りづらい?呉服屋の雰囲気
呉服屋というと「なんとなく入りづらい」というイメージがあります。
しかし、着物の着用機会が減っている現在、呉服屋が「入りづらい場所」のままでは着物離れが進み、着物文化を継承することができません。
そのため、近年は初めての人でも利用しやすい雰囲気の呉服屋も増えています。
ショッピングモールの呉服屋
ショッピングモールの呉服屋は一般大衆向けのお店であるため、全体的に価格が安くオープンな雰囲気で気軽に入ることができます。
反物から仕立てる「あつらえ」ではなく、すでに着物の形が完成している「仕立て上がり」の商品が多いため、「今すぐ着物が欲しい」「実物を見て購入したい」という方に適しています。
庶民的でオープンな呉服屋
商店街や大通りなどに店を構え、外から店内の様子をうかがうことができる庶民的な呉服屋は、オープンで比較的利用しやすい雰囲気があります。扱っている品の価格も比較的手ごろなものが多いだけではなく、着物初心者にも丁寧に説明やアドバイスをしてくれるなど、親切なお店が多いのが特徴です。
百貨店の呉服屋
百貨店の呉服屋は商品の質や接客の質が高く、価格も全体的に高めに設定されているなど、「百貨店ならでは」といった雰囲気があり、少し利用しづらいと感じるかもしれません。
しかし、百貨店の呉服屋は品ぞろえがよく、知識豊富な店員が親身に相談に乗ってくれるため満足感の高い買い物をすることができます。ハレの日や観劇のときなどに着る高級な着物を購入したいというときなどによいかもしれません。
いかにも「老舗」な呉服屋
外から店内の様子をうかがうことができず、値段表記もされていない、いかにも「老舗」といった佇まいの呉服屋は、「一見さんお断り」といった雰囲気があり、気軽に利用できないと感じるかもしれません。
しかし、実際に「一見だからお断り」というお店は少なく、初めて利用する人でも丁寧に対応してもらえることが多いようです。豊富な知識と経験を元にした的確なアドバイスを受けることができます。
呉服屋を利用するメリットと意義
着物は呉服屋以外でも購入することができますが、呉服屋で購入すると様々なメリットを得ることができます。
相談しながら決めることができる
着物にはカジュアルな普段着から格の高いフォーマルなものまであります。
また、帯との組み合わせ次第で着用できるシーンが変化するため、着物を選ぶにはある程度の知識が必要です。呉服屋であれば、どのような場面で着用したいかを相談しながら着物を選ぶことができます。
さらに、着物だけではなく帯や小物、髪型、マナーなど様々な相談に乗ってもらうことも可能です。着物に関することをプロに相談できるというのが、呉服屋の最大のメリットです。
手入れのアドバイスを受けられる
一般的に着物は水に弱いため、洋服のように洗濯することができません。そのため、身につけたあとはきちんと手入れを行い、保管に気を使う必要があります。
手入れや保管の方法はネットで調べることもできますが、ネットでわかるのは「一般的な方法」です。呉服屋であれば、その着物の素材や加工に合った最適な方法をアドバイスしてもらえます。
アフターフォローが充実している
呉服屋では着物をうっかり汚してしまったときのクリーニングや、色あせてしまった着物の染め直し、着物の仕立て直しなど様々なアフターフォローを受けることができます。
「そのお店で買った着物以外はサポートしてもらえない」と思いがちですが、呉服屋は着物を売るだけのみせではなく、着物のことを総合的にサポートしてくれるお店ですので、その呉服屋以外で購入した着物でもフォローを受けることができます。
思い出に残る
着物のたたみ方や反物の巻き方にはコツがあるため、色柄を確認するためには店員に声をかける必要があります。成人式の振袖や冠婚葬祭用の晴れ着を仕立てるといった場面では、色柄や家紋について家族と話し合うこともあるでしょう。
呉服屋で着物を買うときは、必ず誰かと会話し、時間を共有することになります。吊るしてある服をただ買うときには生まれない「思い出」が残り、着物に深い思い入れと愛着を持つことができるでしょう。
呉服屋ではなく京都着物の歴史などについて知りたい方はこちら!>京都着物の成り立ちと歴史とは?
京都にある呉服屋の廃業が増えている?廃業の原因と今後
日本には、伝統的な呉服屋が多く存在する都道府県がいくつかありますが、その中でも代表的なのは京都府です。京都の呉服屋が廃業するという報道が増えてきており、その原因や今後について調べてみました。
需要の低迷
新型コロナウイルスの流行により、結婚式や成人式などのイベントが中止や延期となったため、着物や帯を購入する需要が減少したと考えられます。また、観光客の減少により、観光客向けの商品販売が減少したことも、需要の低迷につながった可能性があります。これを機会に廃業しようという呉服屋が増えました。
また販売を行う呉服屋だけでなく、製造を行なっている着物関連用品のメーカーも、需要減と引き継ぎ手の不足により廃業が相次いでいます。
従業員不足
呉服屋は、熟練した職人が必要となるため、従業員の採用や維持が課題となっています。しかし、新型コロナウイルスの影響により、従業員が離職するケースが増えたことが、廃業につながった可能性があります。
資金繰りの悪化
新型コロナウイルスの影響により、呉服屋の売り上げが減少したため、資金繰りに苦しむケースが出てきた可能性があります。また、京都の呉服屋は多くが老舗で、土地や建物などの経費が高いため、コロナ禍での営業自粛や外出自粛が続く中で、経営に苦しんだことも原因の一つと考えられます。
以上のような理由から、京都の呉服屋の廃業が増えたと思われます。しかし、京都の呉服屋は、伝統文化を守るために欠かせない存在であり、今後も引き続き支援が必要であると考えられます。
京都の呉服屋が廃業している中で、伝統文化を守るために京都 着物レンタル 梨花和服ではコロナ禍でも営業を継続し、お客様に着物をより身近なものと感じていただくことで着物文化を守る活動を続けていきます。
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この記事の著者
梨花和服は京都市内で嵐山、祇園、清水寺、京都駅に着物レンタル店を4店舗展開し、京都エリアでの2021年の年間ご利用実績は8.7万人以上!
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